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「生誕130年 小村雪岱」川越市立美術館

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最近はほとんどテレビを観る機会は減りましたが、Eテレの「日曜美術館/アートシーン」は毎週録画しており、その中で紹介されていた小村雪岱という絵師の絵がとても斬新に見えて、これは絶対見に行かねばと思い先日川越市立美術館まで足を運んできました。

小村雪岱は1887(明治20年)川越に生まれ16歳の時に画家を志し、花鳥画を得意とした日本画家の荒木寛畝に入門。翌年に東京美術学校(現・東京藝大)の日本画科選科に入学し下村観山の教室に通う中で日本画の基礎を見につけ、どこかの画壇に所属し作品を発表するわけではなく、主に装釘や挿絵の世界で絵を発表していくこととなる。

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今回の展示では装釘や挿絵の原画や下絵、木版などの仕事を展示していました。
雪岱の絵の最大の特徴として極細の線によるシンプルな描写と、余白を生かした画面構成があります。日本画用の面相筆なんかはとても細く技術的には特に難しいことだとは思わないのですが、画面構成や無駄のない人物描写には卓越したセンスを感じました。必要な部分を描き必要のない部分は描かないという表現は平凡な造形になることが多いのですが、しっかりと考え抜かれた画面構成により絵は平明になり洗練された仕事に変化しているように見えました。
個人的に気に入ったのは「お伝地獄シリーズ」「西郷隆盛」「忠臣蔵」の挿絵です。
人物を真正面からとらえた絵よりも横や後姿を描いた絵の方が雪岱独自の様式を感じることができました。

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肉筆画は数点しかなかったのですが、その中でも「青柳」は人を描かずして人を描いているところが個人的に好きで、そこに漂う残り香までも表現できている気がしました。

そして美術館隣にある道灌という大正10年創業の和菓子屋さんで食べた蒸しパンが異常なほどの美味さで、今まで食べた蒸しパンの中でずば抜けて1番美味い蒸しパンでした。
人生初の川越訪問でしたが、早くも定番コースが完成しそうです。

「生誕130年 小村雪岱 -「雪岱調」のできるまで-」
2018年1月20日~3月11日
川越市立美術館

by ugymd | 2018-03-11 20:20 | 美術館

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by Yuji Yamada